明治薬科大学広報 No.120
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3 令和5年度春には新型コロナウイルスが感染法上の分類が第5類に変更され、社会活動上の多くの規制が撤廃されました。以後、大学の教育・研究活動もコロナ前の状況に復しております。幸い令和6年度の入学式は、久しぶりに従来の対面形式で挙行することができました。ただし、法律上の分類が変わったとはいえ、コロナ感染者の発生は継続しております。総務課での集計では、令和5年度には大きく2回の感染者ピークがあり、夏休み期間には1ヶ月に58名、令和6年1月には月間18名の報告がありました。本学では引き続き手洗い、マスク着用などの感染予防措置を取りながら、ウィズコロナ体制で教育と研究を継続しています。 令和5年度は理事会及び学長の改選年度でした。既に大学ホームページ、明薬会誌等でもお伝えしているように、令和6年度からは前期と同様に佐川賢一理事長と私が理事会と教学組織を代表して、大学運営に当たることになりました。ご承知のように日本の18歳人口は減少を続けており、薬剤師と言う医療国家資格が取得できる薬科大学においても、志願者の減少による定員割れ校が5割に迫っています。医療の高度化により、薬剤師教育も基礎科学教育から医療教育に重点を移した改訂薬学教育モデル・コア・カリキュラムが、令和6年度から実施されます。本学は薬剤師教育が6年制化された平成18年から、他学に先駆けて薬学科においては国家試験受験資格である22週間の病院・薬局実習に加えて、独自の7つの特別外部実習コースを実施しており、良好な国家試験成績と相まって令和5年度には薬学科の定員を60名増員したにも関わらず高い志願者倍率を維持しています。 令和6年度の春には薬学科(定員360名、うち10名は地域枠)に362名、生命創薬科学科(定員60名)に61名の新入生を迎えることができました。第2回目の地域枠入試には定員の8倍にあたる80名が対象県から志願し、最終的に北は秋田県から南は沖縄県までの7県から10名が入学しました。また、大学院研究科への進学者も高い水準を維持しています。これは、日本の科学立国政策の基盤として、文部科学省が打ち出した「博士人材3倍増」政策に合致するものと考えます。具体的には、生命創薬科学専攻 博士課程(前期)には35名が進学しました。他学大学院進学者を加えると、同学科卒業生の70%以上が大学院に進学した事になります。また、博士課程(後期)には、生命創薬科学科で5名、薬学科では11名(うち社会人6名)が進学しました。特筆すべき事に、薬学専攻では学生の半数以上が病院・薬局・企業で働きながら学ぶ社会人学長 越前 宏俊学生です。これは、文部科学省が提唱する大学院を社会に開かれた「学びなおし」の場として位置づける政策に合致しています。 さて、薬学科卒業生は令和6年2月17日(土)。18日(日)に実施された第109回薬剤師国家試験で、本学学生は新卒合格率で89.73%、既卒で50.00%、新卒と既卒の合計である総数では82.21%の好成績を示しました。この結果は全国56私立薬科大学中、総数で第9位、新卒者では12位でした。本学は第107及び108回の薬剤師国家試験において、入学から一度も留年する事なく卒業し、初回の国家試験で合格する、所謂「ストレート合格率」において、2年連続で全国私立薬科大学1位を獲得しています。第109回の成績におけるストレート合格率は、今秋に文科省から公表される予定です。なお、6年制薬剤師教育開始以後の本学薬学科卒業生の最終的な国家試験合格率は、96.96%と極めて高い値です。 薬剤師教育が6年制化された平成18年から、多くの私立薬科大学が薬剤師を養成する薬学科のみに移行した中で、本学では過去の研究資産を継承しライフサイエンス分野の研究者・技術者を養成する生命創薬科学科を薬学科と併設し、大学院研究科もそれぞれの学科の上に設置しました。生命創薬科学科の教育目標は、創薬・化学業界の研究者・技術者から医薬品開発、健康科学・環境科学、臨床検査等の広いライフサイエンス分野で社会に貢献する人材を養成する事です。本学では学部と大学院が一体化したカリキュラムのもとで、3年次より配属された研究室で教員の密接な指導の下で高度な研究が行われています。本学では、従来から臨床検査技師国家試験受験資格に準拠した履修プログラムを維持している数少ない薬科大学ですが、令和6年春の国家試験では新卒3名、既卒2名の合格者を出す事ができました。 最後に、本学は、明治35年創学以来122年間の歴史を誇る私立薬科大学の伝統校です。創学70周年の記念事業として建設された紀尾井町の旧剛堂会館は老朽化が進んだため、現在120周年記念事業として令和8年春の竣工を目指して新築工事が行われています。GoogleMapで「東京都千代田区紀尾井町明薬発祥の地」と入力すると工事中の画像と明薬発祥の石碑が見られます。卒業生の皆様と新剛堂会館2階の同窓会ラウンジでお目にかかれる事を楽しみにしています。新年度(令和6年度)にあたって

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