8 令和6年度の第Ⅰ期薬学実務実習が、本年2月19日(月)より保険薬局で全国一斉にスタートしました。COVID-19の収束が見えつつありますが、インフルエンザや麻疹、溶血性連鎖球菌の感染者が増加する中での実習となっています。しかしながらCOVID-19のパンデミック対応を通じて、各受入施設では感染予防対策が標準化されて実習の遂行に支障がないことからも、経験に基づく着実な対応力の進化がうかがわれます。 薬学実務実習が薬剤師国家試験の受験資格要件とされているのは、下級学年で修得した知識・技術・態度が実践の場でどこまで通用するか、また自身の不足部分を知り、その後の学修に活かすだけではなく、実習期間を通じて実質的に薬剤師実務に携わることで、対人関係能力も含め、医療現場における職務遂行能力を確認するためでもあります。 薬学教育モデル・コア・カリキュラムでは医学・歯学・薬学で求める資質・能力を共通化し、「多様な場や人をつなぎ活躍できる」ことの達成をスローガンとした改訂が行われました。資質・能力の具体例としてプロフェッショナリズムが挙げられ、『臨床における実務実習に関するガイドライン』(薬学教育協議会 令和5年12月)においては、実務実習におけるアン 本学薬学科では、5年次の必修科目である病院および保険薬局での各11週間の実務実習に加えて、本学独自のコース特別実習(病院薬学、地域医療、臨床開発、健康薬学、伝統医療薬学、海外医療研修、薬学研究A・B)を選択必修科目として実施しています。このカリキュラムは、学生の将来のキャリア形成を支援するために設置された他の大学に例を見ない教育プログラムです。令和6年度は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)も5類感染症に移行しましたので、対面での実習・演習を中心に行いますが、この数年間で培ってきた動画配信などの利点も活かす予定です。また、昨年度から、各コース実習・演習を指導する教員の体制も充実させており、ほぼ全教員がいずれかのコースを担当して、大学全体で運営しています。 学生の希望をとり、決定した各コースの配属数は、次の通りです。チーム医療に参画し薬物療法に責任のもてる病院薬剤師のキャリアを希望する学生のための病院薬学コースには56名、地域における薬局の社会的役割と責任を理解した上で調剤薬局でのキャリアを希望する学生のための地域医療コースには66名、幅広く伝統医療・漢方医学を学びたい学生向けの伝統医プロフェッショナルな行動に際しては、精神疾患や発達障害、メンタルの不調、またその背景としての人間関係や家族関係等に問題がないかについて面談等を通じた評価を行い、繰り返し報告された場合や重大な案件では、学生担当教員と情報共有・相談の上、保護者との情報共有を図ることが明記されました。今年度からはこれらに則り、薬学実務実習が行われることになります。 AIをはじめとしたDX化の推進政策により、これからの薬剤師の業務環境が大きく変化することが予想されますが、薬学実務実習を通じて「総合的に患者・生活者をみる姿勢」、「情報・科学技術を活かす能力」や、修得した知識・技能を如何にして社会に還元出来るかの答えを求めながら実習に臨むことも極めて重要です。 本学では今後も引き続き実習学生の安全性の確保に細心の注意を払いつつ、薬剤師育成の観点で時には厳しい姿勢も含め、サポートしながら実習を進めてまいります。本学学生が将来の保健医療を支える人材となれるよう、教職員一同、努めてまいりますので、ご理解・ご支援下さいます様、よろしくお願い申し上げます。 療薬学コースには28名、食品・環境分野に薬学で学んだサイエンスを用いて公的な研究機関や行政組織で活躍したい学生のための健康薬学コースには24名、企業で医薬品開発や治験業務に携わることを希望する学生のための臨床開発コースには28名が参加します。このコースでの外国人講師によるパレクセル・インターナショナルの教育プログラムは8年目に入り、今年度からプログラムへの参加を希望制で行います。また、国際的な視点で薬剤師教育を体験する海外医療研修コースには22名が参加します。渡航先の状況や現地の医療体制の確認等、大学において学生の十分な安全確保に万全を期することを前提にカナダ、イギリス、タイに行く予定です。さらに、学内での研究を深く行いたいと希望する学生向けの薬学研究コースAには48名、コース特別実習・演習の単位を学内の講義・演習で取得することを希望する学生向けの薬学研究コースBには29名の学生が参加します。今後も、実習施設と緊密な連携をとりながら、コース特別実習を進めてまいります。 (薬学実務実習委員長 菅野 敦之)(コース特別実習・演習委員長 杉田 隆)令和6年度 薬学実務実習に関して令和6年度 コース特別実習・演習に関して
元のページ ../index.html#9