明治薬科大学広報 No.122
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9目指す。による実務実習の実施リキュラムの見直し、改革を進め、卒業研究配属の実質的な早期化などの施策実施を図る。   ⑦ 大学間の連携の一環又は今後の社会情勢による学修形態の多様化として、文部科学省による施策「教育研究体制の多様化と柔軟性の確保」の1つのプログラムである「単位互換制度の柔軟化」に対応できるよう、「学生が他の大学等において授業科目を履修し単位を取得した場合で、教育上有益と認めるときは、自大学の単位としてみなし得る単位互換制度」の拡充を検討する。  ⑧ 防衛医科大学校他との多職種連携教育   (IPE:Interprofessional Education)    近年、医療の多様化に伴い、単独の医療専門職のみで良質な医療を提供することは困難となっている。医師・薬剤師・看護師は、その共通基盤を理解し、その上で各自の専門性を深め、他の職種と連携して活動することが極めて重要である。そのため、早期からこの連携の重要性を理解し、将来の良好なチーム医療の担い手としての素養と自覚を養うことが求められており、本学では令和3年度より、本学薬学科1年次と5年次の学生を対象に、防衛医科大学校医学科学生、看護学科学生とIPEを導入した。また、令和6年夏から、本学と日本社会事業大学及び国立看護大学校とで締結した「三大学包括連携協定」に基づき、薬学科1及び2年生を対象として介護・福祉、薬学、看護分野による専門職連携教育(サマースクール)を開始した。これらの清瀬市内大学合同プログラム(多職種連携)教育を令和7年でも実施する。  ⑨ 本学のSDGs(持続可能な開発目標)に積極的に取り組み、その成果は本学ホームページなどを活用し、社会に発信する。  ⑩ 新たに設置した「薬学データサイエンスセンター」による活動を活発化し、文部科学省が推進する「数理・データ・サイエンス・AI教育プログラム認定制度(リテラシーレベル)」の令和7年度の認証認定を目指す。  ⑪ 令和6年度入学者から適用された薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)の大項目A、「薬剤師として求められる基本的な資質・能力」は生涯を通じて研鑽し続けることが謳われており、各大学は卒後の生涯教育にも対応することが求められる。これに対応するために、本学が実施している認定薬剤師研修制度(薬剤師認定制度認証機構G06)と3大学連携事業での社会人リカレント教育及び地域貢献活動を業務とする「生涯教育・地域貢献センター(仮称)」を設置する。また、臨床検査技師教育における新カリキュラムへの対応を進め、臨床検査技師国家試験合格者増を図る。  ⑫ アントレプレナーシップ教育(起業家精神*2の醸成)を推進する。    本学では令和2年度以来、「薬局経営学」を薬学科1から4年生を対象として開講している。開始年は自由科目であったが履修者が多数いたため、現在では選択科目として継続している。また、各教員の授業科目においてもそれぞれの専門性の観点から起業家精神を醸成する教育内容をとり入れる。   *2  起業家精神とは、起業に限らず、新事業創出や社会課題解決に向け、新たな価値創造に取り組む姿勢や発想・能力等を意味するとされている。 (₈)  大学院(生命創薬科学専攻・薬学専攻)の整備充実及び入学者の確保    文部科学省では令和6年3月に「博士人材の社会における活躍促進に向けたタスクフォース」による、「博士人材活躍プラン~博士をとろう~」を取りまとめ、公表している。本学の大学院教育ではこの主旨に沿った教育改革を実施する。内閣府の「創薬人材養成の教育・研究の充実の方針を踏まえたカリキュラムの再検討を行う」  ① 薬学や生命科学の進歩・発展を担う高度な研究能力を兼ね備えた卓越した人材育成を目指し、両専攻の教育・研究体制の継続的な整備充実を図るとともに、生命創薬科学専攻博士課程(後期)の入学定員の充足を目指す。さらに、社会人のための高度な研究活動の推進に対して柔軟に対応可能な組織体制の構築を目指す。   ② 「大学院平準化」により生命創薬科学専攻博士課程(前期)の学生を受け入れた薬学専攻の研究室での研究・教育体制を更に整備・充実し、学生の多様な要望に応え得る環境を提供する。  ③ がん研究会 がん研究所・がん化学療法センター、国立がん研究センター東病院及び中央病院、国立成育医療研究センター、国立精神・神経医療研究センター 、国立保健医療科学院などの連携大学院協定締結機関を活用し、両専攻における教育研究環境の拡充を行う。  ④ 剛堂会館(紀尾井町)の竣工にあわせて社会人大学院開設に向けた準備を進める。 (₉) 進路・就職支援活動の充実    学部生(薬学科、生命創薬科学科)及び大学院生(生命創薬科学専攻博士課程(前期・後期)、薬学専攻博士課程〔4年制課程〕)について、適宜・適切なキャリア教育並びに就職支援を実施し、本学の強みである「高い就職率」の維持・向上を図る。    企業訪問、インタ-ンシップ等を継続的に行い、情報交換並びに新たな就職先の開拓・確保に努める。更には、地域枠学生の出身県(その他薬剤師偏在地域)の基幹病院等への就職支援活動も行う。また、就職に関する卒業時の学生満足度アンケ-ト調査、卒業後3年調査の分析結果を受けて、今後の就職支援活動の改善に活かす。    また、コロナ禍以降の就職活動の変化(対面からリモートへ) (₄)  薬学実務実習及びコース特別実習・演習受入施設との連携    薬学科の学生が質の高い薬学実務実習及び本学独自の7つのコース特別実習・演習を通して、「実践的能力や高度な専門性を身につけ、様々なニーズに対応できる広い視野をもつ」ことができるよう、受入施設や関連団体との緊密な教育連携を図る。包括的連携協定を締結した医療機関(埼玉医大、都立墨東病院など)との連携の充実を図る。    なお、定員増の根拠とした4つの新規特別実習コ-ス(先端医療、感染症薬剤師、薬学データ・サイエンス、グローバル薬剤師養成)については、3年後の実施に向け実習施設の確保を進めたが、引き続き実施に向け準備を進める。同様に、定員増員に合わせて打ち出した薬剤師偏在問題に対する地域枠入試制度と同様の趣旨で、令和6年度より開始した医療資源の限られた環境で医療の在り方を学ぶ、島嶼部実習の充実を図る。また、医療DXの推進に対応した薬学教育プログラムを推進する(病棟での薬剤師業務、電子カルテを利用した事前実務教育が可能な環境での学び)。 (₅)  総合教育研究棟フロネシス等を活用した実践的教育の推進    高い臨床能力と実践能力を有する力量ある薬剤師の養成教育において重要な要素となる事前実務実習、臨床現場での実践実習を担保する薬学共用試験(CBT、OSCE)等について、学習成果基盤型教育*1に基づいた教育効果の高い内容とし、実践的な教育の更なる向上を図る。また、遠隔教育システム及びアクティブラーニング室を利用した実践教育も継続・発展させる。   *1 学習成果基盤型教育:       学習成果基盤型教育(outcome based education;OBE)とは、卒業目標(学習アウトカム)を設定し、それを達成できるように目標、方略、評価など教育全体をデザインする教育法であり、卒業目標を達成できるように1年次から順次性のある学習目標を設定するラセン型カリキュラムをいう。       OBEの有用性としては、①教育の質の保証、②順次性のある6年一貫カリキュラムの作成、③学習項目の重複・欠落をなくす、④学生、教員双方に分かりやすい、⑤評価がしやすい、⑥教育の継続性を担保、などが云われている。 (₆) 附属薬局を活用した実践的教育の推進    早期体験学習、薬学実務実習及びコ-ス特別実習・演習(地域医療コ-ス)等を効果的に実施する。特に地域医療コースにおいては、地域における医療連携・薬局業態の在り方や課題を考える場として活用する。また令和6年度に導入したクラウド型薬歴を活用しDX化に対応した患者指導の充実を図るとともに附属薬局運営による知見を学内教育に取り入れ、より実践的な実習につなげる。さらに、 「地域連携薬局」 及び「健康サポート薬局」 としての地域医療への関与を推進するために、行政政策を見据えOTC医薬品取扱を視野に入れつつ、地域に密着した健康情報拠点での情報発信、地域における活動への学生の参加を通じて薬剤師マインドの涵養を図る。 (₇) 学部(薬学科・生命創薬科学科)の整備充実    法人及び大学における学部の将来構想における議論を踏まえて、建学の精神を生かした大学教育の質向上を図るために、「全学的な教学マネジメント体制のさらなる構築」、「教育の質向上に関するPDCAサイクルの確立」、「教学IRの活用」を行い、学部の整備充実を図る。特に、内部質保証システム(自己点検・評価を生かした改革・改善を継続的に可能にする自律的なシステム)の運用充実に努める。また、令和6年7月に内閣府から発出された「創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議」中間取りまとめで提言された薬科大学における創薬人材養成の教育・研究の充実の方針を踏まえてカリキュラム等を改訂する。  ① 令和6年度 入学者から適用された薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)及び各学科の特徴ある本学独自カリキュラムを効果的に運用するために、1、2、3年生の増員に対応したクラス編成、時間割作成、講義室の確保等を行う。  ② 学生の能動的学修意欲を醸成できるような教育方法等の継続的な点検・見直し(講義内容や教材の電子化、講義の動画配信他)、厳格な成績評価の実施、及びきめ細やかな学修環境の整備充実に努める。  ③ 「創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議」中間取りまとめで提言された薬科大学における創薬人材養成の教育・研究の充実の方針を踏まえて薬学科および生命創薬科学科のディプロマポリシーに対応したカリキュラム等の再検討を行う。  ④ 一般社団法人薬学教育評価機構による「薬学教育評価(第三者評価)」を受け、客観的な視点から薬学科の教育プログラム改正に努め、教育・研究活動等の充実・向上を図る。  ⑤ 令和5年度に受審した公益財団法人大学基準協会の第4期の「大学基準」及び「点検・評価項目」を踏まえ、学内常置委員会等がPDCAサイクルを適切に機能させて自己点検及び評価を行い、改善に結び付ける。具体的には、毎年度の点検評価報告書を内部質保証委員会へ提出して、改善点等について学長に提言してもらう。  ⑥ 各学科の特色を強化するために薬学科においては「コース特別実習・演習」の充実を図り、さらに4つの新規特別実習コ-ス導入に向け準備を進める。生命創薬科学科においてはカ

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