明治薬科大学広報 No.122
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8 法人だより法人だより厳格に行い、適切な予算編成を実現します。   収入面においては、公的研究費等の外部資金の獲得、寄付金収入と資産の効率的な運用等による利息収入の確保に取り組むこと、一方、支出面においては、教育研究環境の整備・充実に努め、適切な経費削減を図ります。   また、重要な財務指標に関して、目標数値を設定することにより、予算編成の段階で単年度の収支均衡を図るとともに長期的な収支均衡を実現できるよう努めます。具体的には、事業活動収支計算において「経常収支差額比率」を2%以上とすることを目標とします。さらに、教育環境の改善に向けて、効率的な研究室のあり方を検討し、計画的に教員の増員を目指します。Ⅲ  中央教育審議会の答申「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」により、中央教育審議会大学分科会質保証システム部会において取りまとめられた「新たな時代を見据えた質保証システムの改善・充実について(審議まとめ)」を踏まえ、文部科学省により、大学設置基準等の一部を改正した下記の事項の内、本学に関連する場合は、可及的、速やかに検討し、対応することとします。 ①  総則等理念規定の明確化:3ポリシーや自己点検・評価、認 ② 教育研究実施組織等:教職協働の実質化 ③ 基幹教員等:主要授業科目の明確化 ④ 指導補助者:TA等の授業への参画 ⑤ 授業期間:大学の判断により多様な期間設定の明確化 ⑥  単位の計算方法:授業方法別に必要な授業時間数の基準を定 ⑦  学習成果と単位授与:多様な学修評価方法により単位を与え ⑧  卒業要件:大学が定める「卒業認定・学位授与の方針」の」 ⑨ 校地、校舎等の施設及び設備等 ⑩ 教育課程等に係る特例制度 これらの背景を踏まえ、次の11項目(中期計画/運営の大綱)を 「運営の基本方針」と定め、「予算編成方針」を示します。 ₁ 薬学教育・研究環境の整備・充実 ₂ 財政基盤の確立と経営効率化 ₃ 組織・人事・給与制度の整備 ₄ 社会貢献の充実 ₅ 環境マネジメントシステムの継続運用 ₆  明治薬科大学附属薬局運営における臨床・教育・研究の推進 ₇ 危機管理体制の整備・充実とコンプライアンスの徹底 ₈ 創学120周年記念事業の剛堂会館新築と運営 ₉ 維持員の増強及び維持員制度の充実と活性化の推進  10 広報活動を通しての本学ブランド力の向上  11 デジタル新技術活用の推進₁.薬学教育・研究環境の整備・充実 (₁) 教員組織の整備及び研究体制の充実  ① 教員組織の更なる適正化を図り、分野別及び年齢構成別のバランスに配慮しつつ、社会の変化に対応できる「魅力ある大学づくり」のため、現行の研究室の整理・統合を踏まえて必要に応じて研究室3人体制を具現化する。また、教育環境の改善を図るため計画的に教員の増員を行う。その際、若手研究者及び女性研究者の比率は、現在の20%及び26%に対してそれぞれ30%の達成を目指す。令和4年度に本学で制度化されたクロスアポイントメント制度を活用し、病院薬剤師等を本学教員として適宜採用することに努め、令和5年度の薬学科60名増員及び、生命創薬科学科のカリキュラムの再編に対応した更なる教員組織の充実を図る。  ② 教員及び配属学生の居室等に余裕がない現状を鑑みて、今後増員される教員の教授室や指導する学生の十分な居室の確保・整備に向けて、法人と大学で調整を図りつつ検討する。  ③ 平成26年度に改編した、薬学教育研究センターの組織及び (₂) 研究設備機器に関する環境の整備    研究設備の環境を維持・向上するため、機器分析センターなどに整備された高額機器などについて、必要に応じて計画的に更新、拡充に努める。また、既存の機器については、適切なメンテナンスを施すことによりできるだけ使用期間の延長に努める。 (₃) 薬剤師国家試験対策の充実    令和6年の新卒者薬剤師国家試験合格率は89.73%であり、ストレ-ト合格率(標準修学期間で卒業し国家試験に新卒合格した学生数/入学者数)は70.75%であった。薬剤師国家試験の新卒合格率は90%以上を目標とする。ストレート合格率は私立薬科大学中5位以内、80%前後を目標とする。そのために国家試験対策講習会、国家試験問題解説書作成及び総合医療薬学演習試験データベースの活用等、その対策に万全を期す。また、1年生のリメディアル教育の充実についてもさらに実施し、留年防止対策及び既卒者へのケアも行う。IR室の分析結果等を踏まえ、6年の成績下位者を対象に国家試験対策夏期講習会や必須問題過去問試験を実施するなど薬剤師国家試験対策の充実を証評価と設置基準の関係の整理めた規定の廃止ることの明確化再整理及び地域社会貢献〈運営の基本方針〉【3.組織・人事・給与制度の整備 (2)人事 ①参照】役割等の点検・見直しを行う。 本学は、薬学の普及と社会に有用な薬剤師を養成し、医薬分業を実施し、もって国民の保健衛生へ貢献することを『建学の精神』とし、これまでの123年を超える歴史の中で、堅実かつ着実に歩んで参りました。 法人は、新たな100年を刻むための指針として、令和2年3月25日に『学校法人明治薬科大学 中期計画(運営の大綱)』を制定し、創学者恩田重信(剛堂)先生の『建学の精神』を継承しつつ、法人運営では改正私立学校法の施行(令和7年4月1日)に伴う学校法人明治薬科大学寄附行為(令和7年3月末までに認可/令和7年4月1日施行予定)による理事会(理事)並びに監事及び評議員会(評議員)などの機関の運営、本法人が新たに整備する内部統制システムを基にした運営、大学運営では薬剤師のオンライン服薬指導、加速的に発展する医療のDX化、令和6年入学者から適用する薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)への対応、内閣府から発出された創薬人材養成の教育・研究の充実の方針等の新たな社会環境の変化に対応できる運営をそれぞれ目指します。 また、国連の行動計画であるSDGs(持続可能な開発目標)に関して、その趣旨を踏まえて本学の取り組み(運営の基本方針・予算編成方針による各事業計画・項目)を展開するものとします。更に、令和7年度運営の基本方針・予算編成方針の実行にあたり、公益財団法人大学基準協会の認証評価の結果(令和5年度評価年度/令和6年3月)を踏まえて必要な対応を行うこととします。 さて、私立(薬科)大学を取り巻く課題には、①急速な少子化による18才人口の減少、②優秀な学生確保における大学間競争の激化、③教育研究の質保証の重要性、④自己点検・評価(内部質保証)と認証評価による教育研究の向上を目指した不断の改革、⑤薬学系人材養成の在り方に関する検討結果への対応、⑥大学設置基準の見直しなどによる教育研究体制(態勢)の動向への対応、などが挙げられます。 そして、このような環境下にあって、私立大学においては、①入学定員充足率の低下(100%未満の大学の割合)は、平成28年度44.5%、29年度39.4%、30年度36.1%、31年度(令和元年度)33.0%、令和2年度31.0%、3年度46.4%、4年度47.3%、5年度53.3%、6年度59.2% ②収支状況の悪化(事業活動収支差額比率が0%未満の大学法人の割合)は、平成26年度32.7%、27年度36.1%、28年度39.4%、29年度39.4%、30年度37.5%、31年度(令和元年度)42.5%、令和2年度34.6%、令和3年度29.7%、令和4年度38.5%となっています。 なお、私立薬科大学(薬学部)の入学定員充足率は平成28年度98.6%、29年度99.9%、30年度95.7%、31年度(令和元年度)93.8%、令和2年度93.3%、3年度89.0%、4年度95.0%、5年度94.8%、6年度91.7%となっており、入学定員充足率が100%未満の私立薬科大学(薬学部)の割合は、平成28年度35.1%、29年度36.8%、30年度50.8%、31年度(令和元年度)50.8%、令和2年度55.9%、3年度65.0%、4年度67.5%、5年度54.2%、6年度50.0%となっています。 次に、本学においては、財務状況の面では、令和5年度決算で、教育活動収支差額比率4.0%、経常収支差額比率5.6%、事業活動収支差額比率4.9%、基本金組入後収支比率106.0%であり、短期的な収支均衡の状況を示す、当年度収支差額はマイナス(△302,074,378円)でした。翌年度繰越収支差額はプラス(2,454,307,092円)であり、長期的な収支均衡は達成しました。なお、その他の主な財務指標は、収入については、学生生徒等納付金比率81.2%、寄付金比率1.2%、補助金比率6.0%、支出等については、人件費比率39.6%、教育研究経費比率45.3%、管理経費比率9.5%、減価償却額比率14.3%、基本金組入率10.3%、人件費依存率48.8%です。 教育研究面において、学部では令和6年3月に卒業の薬学科第13期生の薬剤師国家試験の合格率と就職動向を検証しつつ、令和6年度に入学した学生に適用した薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)を令和7年度新入生にも適用し、 将来を見据え、様々な局面で活躍できる医療人を養成します。また、大学院においては、 生命創薬科学専攻博士課程(前期)修了者の進路動向を踏まえ、 生命創薬科学専攻博士課程(前期・後期)、 薬学専攻博士課程〔4年制課程〕と併せて、高い教育研究水準を維持していくための教育研究体制・環境の更なる整備充実を図ります。 社会の情勢に柔軟に機動性を保ちつつ特に、次の3点に留意いたします。Ⅰ  法人役員と教職員は、「建学の精神」、「学校法人明治薬科大学 中期計画(運営の大綱)」、「学校法人明治薬科大学寄附行為」、「学校法人明治薬科大学行動規範」、「学校法人明治薬科大学 ガバナンス・コード」の理念や目標を踏まえて、上記の学内外の課題を十分に認識するとともに、コスト意識(費用対効果)を持ち、予算の執行(事業の遂行)にあたり適切な費用で最大限の効果を発揮するよう努めます。Ⅱ  令和7年度予算編成は、教育研究の事業の永続性と財政の健全性の確保に配慮、教育環境の必要な整備に向けた予算を確保します。さらに、予算と決算に著しい差異(乖離)が生じることのないよう、前年度に実施した事業の検証並びに予算概算請求の査定を令和7年度 学校法人明治薬科大学運営の基本方針・予算編成方針― 「学校法人明治薬科大学 中期計画(運営の大綱 ・ 令和6年3月)」 を踏まえて―

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