6 令和 7 年度の第Ⅰ期薬学実務実習は本年 2 月 17 日(月)より開始されました。感染症への懸念材料は通常レベルとなりましたが、各実習受入施設では、この数年間の経験に基づく感染リスク低減の対応策が根付いた受入体制となっています。また、病院施設においては、より安全な環境確保のために実習開始前から検温等の体調申告を前提としているところもあり、実習予定学生も実地の医療に対し、緊張感を以て臨んでいます。 薬学実務実習は全実習期間を通じて実際の薬剤師業務に携わる中で、修得した知識・技能・態度の観点から、総合的に薬剤師としての職務遂行能力を有することを確認することが意図されています。令和 5 年 12月に薬学教育協議会から発出された『臨床における実務実習に関するガイドライン』においては、実務実習におけるアンプロフェッショナルな行動に対しては、精神疾患や発達障害、メンタルの不調、またその背景としての人間関係や家族関係等に問題がないかについて面談等を通じた評価を行い、繰り返し報告された場合や重大な案件では、学生担当教員と情報共有・相談の上、保護者との情報共有を図ることとされています。本年 3 月に開催された実務実習担当者会議においても、近年の学生の社会適応力の低下を看過できないも 本学薬学科では、5 年次の必修科目である病院および保険薬局での各 11 週間の実務実習に加えて、本学独自のコース特別実習(病院薬学、地域医療、臨床開発、健康薬学、伝統医療薬学、海外医療研修、薬学研究 A・B)を選択必修科目として実施しています。このカリキュラムは、学生の将来のキャリア形成を支援するために設置された他の大学に例を見ない教育プログラムです。 学生の希望から決定した各コースの配属数は、次の通りです。チーム医療に参画し薬物療法に責任を持てる病院薬剤師のキャリアを希望する学生のための病院薬学コースには 57 名、地域における薬局の社会的役割と責任を理解した上で調剤薬局でのキャリアを希望する学生のための地域医療コースには 56 名、幅広く伝統医療・漢方医学を学びたい学生向けの伝統医療薬学コースには 28 名、食品・環境分野に薬学で学んだのとして、薬学教育モデル・コア・カリキュラムで求める資質・能力である「多様な場や人をつなぎ活躍できる」観点の重要性が指摘されました。 医療 DX 化の推進政策や AI の進化は急速に進み、薬剤師に求められる「モノから人へ」の要請は一層強いものになります。薬剤師は知識・情報の面では AIを越えることはもはやできない現実の中で、患者以外に健康不安を抱える人の感情、価値観、人生観を総合的に勘案し、多職種と連携して医療に関わる能力はAI にはありません。薬学実務実習は、各実習施設スタッフの方々、患者さんとの関わりを通じて自身の知識の確認や知識の使い方だけでなく、様々な人との関係調整力、対応力の必要性に気づくことで大きく成長する機会として、有意義な時間であって欲しいと考えています。 本学では、社会に求められる医療人を育成するために、ときには必要に応じた厳しい姿勢も含め、サポートしてまいります。本学学生が将来の保健医療を支える人材となれるよう、教職員一同、努めてまいりますので、ご理解・ご協力くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。サイエンスを用いて公的な研究機関や行政組織で活躍したい学生のための健康薬学コースには 22 名、企業で医薬品開発や治験業務に携わることを希望する学生のための臨床開発コースには 32 名が参加します。また、国際的な視点から薬剤師教育を体験する海外医療研修コースには 21 名が参加します。渡航先の状況や現地の医療体制の確認等、大学において学生の十分な安全確保に万全を期すことを前提としてカナダ、イギリス、タイに行く予定です。さらに、学内での研究を深く行いたいと希望する学生向けの薬学研究コース Aには 53 名、コース特別実習・演習の単位を学内の講義・演習で取得することを希望する学生向けの薬学研究コース B には 29 名の学生が参加します。今後も、実習施設と緊密な連携をとりながら、コース特別実習を進めてまいります。(薬学実務実習委員長 菅野 敦之)(コース特別実習・演習委員長 杉田 隆)令和 7 年度 薬学実務実習に関して令和 7 年度 コース特別実習・演習に関して
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