Mac OS X でのワープロは何が良いか
October 14, 2006
比較してみた環境
比較した感想
比較対象とした作業内容は、科研費申請書類作成やマニュアル作りなどで、
かなり研究者業界方面に偏っている。
- pTeX
- 長所: 完璧な再現性。vi と相性が良い、数式がつくりやすい、など。
無料でインストールも簡単なパッケージが複数ある。
- 短所: 文字コードが難しい。
うかつに UTF でソースファイルを作ってしまうと、iconv で EUC なり
Shift-JIS なりへの変換が失敗するときにどうしようもなくなる。Shift-JIS
にしたいときは、
iconv -f UTF-8-MAC -t SHIFT-JIS < input > output
てな感じでやるが、失敗することも多い。
また稀に、素人には手も足も出ない解決不能な事態に陥ることがある。
- MS-Word (Microsoft Office)
- 長所: 人から送られてくるのはこのファイルが多いので、
持っておくと便利。というか結局は買う羽目になる。
インストールは、ライセンス番号の入力以外は非常に簡単。
図表を PowerPoint や Excel で作って貼り込むのが楽。
- 短所: 昔のバージョンと、または Windows 版と Mac 版とで互換性が低い。
特に罫線などでがんばって作っているレイアウトが崩れるのが悲しい。
様式が指定されている書類は要注意。試行錯誤しても報われないことも多い。
原因は OS によるフォントの扱い方の違いらしい。
まぁ、そういう事情は相手方にもだいたい理解してもらえる。
また目的の機能を探し当てるのが大変。あと、非常に高価。
- OpenOffice.org (OOo)
- 長所: マルチプラットフォームで、プラットフォーム間の互換性が高い。
無料なので導入に抵抗が低い。
- 短所: インストールが楽なものは Apple 製の X11 を別途必要とする。
したがって、X11 用の日本語入力ソフトウェアがないと
日本語が直接入力できない。操作メニューなども英語。
X11 が不要な版 (NeoOffice、日本語が使える) はバグがまだ多い。
MS-Word との互換性を期待していると、裏切られがち。
- Pages (iWork)
- 長所: むちゃくちゃ使いやすい。表示も体裁も美しい。
この点はダントツによい。使いたい機能を探しやすい。そんなに高くない。
- 短所: 索引など、機能がまだまだ足りない。ここに比べた中では、
もっとも低機能だと思う。
- egword universal
- 長所: 一般に使う機能をはそろっている。他は Pages と同じ長所がある。
- 短所: マイノリティの気分をひしひしと味わえる。
トラブルがあっても周囲には助けてくれる人がいない。
トラブルを解決しても、共感して一緒に喜んでくれる人がいない。
MS-Word との互換性を期待していると裏切られがちのは OOo と同じ。
- 結論
- 高機能: pTeX、MS-Word、OOo、egword (pTeX が中でもよい)
- 無料: pTeX、OOo
- 低価格: Pages、egword
- 操作性: Pages、egword
- ターミナル上での作業環境を EUC か Shift-JIS で構築しているなら、迷わず
TeX の環境構築(あまり一般的な意見ではないかもしれないが)。UTF
で構築しきっているなら、ソースファイルを書くときに Shift-JIS
で最初から書くように気をつける。その際、バックスラッシュは使えないので、
円マークをカット&ペーストかなんかでちまちま入れる。
- 人に渡す予定のないファイルや、PDF で渡せば良いようなものは、egword
で書くのがベストだと思われる。
図を作って貼り込む必要があるときは、OmniGraffle かなんかで作るのが良い。
- Mac 用の一太郎はなくなってしまったのか? 一太郎 for Linux
が実は Mac OS X で動いたりするんだろうか。