ポルフィリン及び金属ポルフィリン錯体の新規機能開発

ポルフィリン

例えば、下式のように、Pd(0)触媒を用いると、アミノ基やアミド基を持つポルフィリンが簡単に合成できることを明らかにしています。

ポルフィリン錯体は生体系において最も重要な金属錯体のひとつで薬物代謝などに深く関わる化合物です。このテーマは金属ポルフィリン錯体触媒を用いる有機反応の開発、及び新規機能の開拓を通じて、この金属錯体の隠された機能を明らかにしていこうとするものです。当研究室が、現在、最も力を注いでいる研究テーマです。

当研究室ではこれまでに高原子価遷移金属を中心に持つポルフィリン錯体がLewis酸触媒として機能することを明らかにしています。

金属ポルフィリン錯体をLewis酸触媒として用いると、これまで困難とされてきたエポキシドの転位反応の位置選択性を、中心金属の種類を変えるだけで自在にコントロールできることを明らかにしました。

エポキシドのカルボニル化合物への位置・立体選択的転位反応
後者のアルキル転位を伴う反応を、光学活性エポキシシリルエーテルに適用すると、有用な合成中間体である光学活性β−シロキシアルデヒドを簡単に合成することが出来ます。このような反応は、従来、かさ高いアルミニウム試薬を基質に対して過剰に用いる必要がありましたが、ポルフィリンを用いることにより触媒化できることを初めて明らかにしました。
アリルビニルエーテルの Z 体選択的Claisen転位反応
アリルビニルエーテルのClaisen転位反応では、通常、置換基 R1 がエカトリアル配置の安定な6員環遷移状態を経由して反応が進行するため E 配置のγ,δ−不飽和カルボニル化合物が生成し、逆のZ 配置を持つ生成物を得ることは困難とされていました(式1)。ところが、ポルフィリン触媒を用いると簡単にZ 配置のγ,δ−不飽和カルボニル化合物が高選択的に生成することを見出しました(式2)。
新しいポルフィリン環修飾反応の開発