臨床薬剤学研究室の研究内容を紹介しています。


本研究室は医薬品の適正使用と副作用発現リスクの回避を目的として、基礎研究および臨床的薬剤情報の統合による臨床応用可能な知見の創出と緩和医療における薬物治療の最適化を目指し日々研究、教育実践、臨床へのフィードバックを目指しております。


薬剤師が医療チームでその存在意義を示すためには、チーム医療の実践を基本として、もっと臨床研究的思考をもつことが重要ではないかと考えております。研究室の主なテーマは以下の通りです。

1. 緩和医療における薬物治療のエビデンスの探求
2. 計算毒性学的手法に基づく医薬品等の有害事象発現メカニズムの解析
3. オピオイドの薬物体内動態パラメーター、薬効、および副作用発現リスク予測モデルの構築
4. 多変量解析およびデータマイニング手法を用いた副作用発現に寄与する患者背景因子の探索
5. 生活習慣病患者およびモデル疾患動物の遺伝情報を用いた疾病発現機序およびリスク因子の解明


最近、緩和医療薬学研究推進のためのリバース・トランスレーショナルリサーチ(rTR)の重要性が唱えられております。これは、臨床現場で経験的に得られた知識や問題点を基礎研究により解決する手法で、今後薬系大学が積極的に取り入れるべき研究手法の1つで、臨床薬学研究と基礎薬学研究が真に融合する場として大学はさらに臨床と密接な関係が必須要件になります。
緩和医療を例にのべると臨床的エビデンスに基づいて進められてきておりますが、多職種が融合することの重要性を踏まえ、臨床と基礎が両輪となるような研究推進も優先するべき課題です。

研究室は研究活動の他に、人間形成の場でもあります。研究や日常の関わりやイベント活動を通して学生たちが成長する場でもあります。
また、研究室から社会に巣立った学生たちには、卒業時一人ずつに本人の名前、研究室名、卒業年を刻んだスパーテルを授与し、社会のいろいろな場でも薬剤師のとしての誇りとスピリットを生涯持ち続けるよう思いを託しております。

平成28年4月には「緩和医療薬〜ScienceとArtの融合と実践〜」を上梓しました。緩和医療を薬学生に向けて書き下ろした最初の教科書と自負しております。植沢准教授は薬剤学の視点、野澤准教授は薬理学の視点、小生は臨床の視点で3人の合作で、まさにScienceとArtの融合と実践です。
臨床薬学教育の一助になれば光栄です。どうぞ、臨床薬剤学研究室をお訪ねください。