水チャネル(アクアポリン)と病気の関係について臨床応用を視野に入れて研究している。発現培養細胞レベルの研究からノックアウトマウスの病態解析に到るまでの研究を展開し、水代謝、脂質代謝の病態理解から新規治療法の開発につなげる。とくに細胞内水チャネル破綻によるアポトーシスや多発性のう胞腎の発症機構に興味をもっている。

AQPノックアウトのマウスとヒトの表現型

 

ノックアウトマウス         ヒトにおけるノックアウト

AQ0   白内障                 白内障

 

AQP1   知覚障害、脂肪吸収不全症     正常、軽度の尿濃縮力低下

       軽度の尿濃縮力低下

 

AQP2   致命的な尿崩症              致命的ではない尿崩症

 

AQP3   尿濃縮力低下、乾燥肌         正常?

 

AQP4   軽度の尿濃縮力低下          不明

      視覚、聴覚、嗅覚障害

      脳浮腫の減少

 

AQP5   口渇、角膜菲薄化、低発汗       不明

 

AQP6   正常?                     不明

 

AQP7   軽度の肥満                正常

      ランゲルハンス島細胞の縮小

      尿中へのグリセリン消費

      グリセリン輸送の低下

 

AQP8   正常、精巣の肥大             不明

 

AQP9   正常、肝臓でのグリセリン吸収低下   不明

 

AQP10   正常、偽遺伝子              不明

 

AQP11   致命的なのう胞腎             不明

 

AQP12   膵炎重症化                 不明


病態生理   病態生理学教室 http://www.my-pharm.ac.jp/~kishiba/sub5.html

分子生物研究部


研究テーマ①「アクアポリン研究の臨床応用:薬剤によるアクアポリンの制御」

1. 癌細胞のアクアポリン発現による修飾:増殖、運動、血管新生

2. 脂肪細胞におけるアクアポリンの制御:グリセリン代謝と肥満

3. 皮膚の保湿、再生、発癌でのアクアポリンの薬剤による制御

4. 動脈硬化での血管内皮のアクアポリンの制御

5. 白血病細胞アクアポリンの役割:砒素、抗癌剤のとりこみ

6. 唾液分泌アクアポリンの薬剤による制御

7. 薬剤性腎傷害、肝障害時のアクアポリンの関与:再生、サイトカイン、アポトーシス

8. アクアポリン11欠損マウス(多発性のう胞腎)の病態解析

<水チャネルAQP11の生理的役割の解明>:

アクアポリン11を生まれつき欠損しているマウス(ノックアウトマウス)は、発育が遅れ、多嚢胞腎を発症し、腎不全で生後一か月で死ぬ。。発症機構に小胞体ストレスによるアポトーシス、オートファジー、PC-1の細胞膜への発現障害がある。脳の血管内皮や脈絡叢に発現しており、脳浮腫に関与している可能性がある。

②バソプレシン感受性水チャネルAQP2の発現制御
集合管培養細胞を使ってAQP2の発現を刺激するホルモン・薬物をスクリーニングする
尿エキソソームのAQP2の生理的役割の解明
AQP2阻害薬のスクリーニング:ヒトAQP2蛋白を大腸菌に発現させ、リポゾームに組み込んで水透過性を測定

③尿エキソソームのプロテオーム解析と生理的・病理的役割の解明


④脳梗塞モデルの脳浮腫へのアクアポリンの関与と新規治療法の開発。


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