ChatGPTをうまく使って国家試験の問題の正答率を上げられないか少し試行錯誤してみました。
その結果、科学研究の領域での文献検索等で評判の良いGPTsである「Consensus」を使うと上手くいきそうなことが分かりました。

 

お題は第109回薬剤師国家試験の問174(薬剤学分野の理論問題)の選択肢2です。

「CYP2D6の遺伝子多型が関与するイミプラミンのpoor metabolizer(PM)では、活性代謝物の血中濃度が高い。 」の正誤問題です。

 

解答は「正」ですが、ChatGPT-4、Gemini Ultra、Claude3 Opusの全員が「誤」と判定してしまいました。
彼らの解説を読むと、CYP2D6がイミプラミンの活性代謝物への代謝を触媒すると誤解していたことが原因であることがわかりました。
この問題の解答にはイミプラミン代謝に対するもう一段階深い理解が必要です。
そこで、Consensusを使って勉強させながら問題を解かせてみます。

 

User

「CYP2D6の遺伝子多型が関与するイミプラミンのpoor metabolizer(PM)では、活性代謝物の血中濃度が高い。 」
上記の文言は試験において正誤を問われている選択肢のひとつです。
検索して調査してください。その際、まず活性代謝物の生成メカニズムについて調査してください。

 

GPT

CYP2D6の遺伝子多型は、イミプラミンのような三環系抗うつ薬を含む様々な薬物の代謝に大きく影響する。CYP2D6酵素は多くの薬物の代謝を担っており、その活性は遺伝的変異により個人間で大きく異なる。これらの変異は、個人を代謝不良型(PM)、中間型(IM)、広範囲型(EM)、超速代謝型(UM)という異なる代謝表現型に分類し、薬効と安全性に影響を及ぼす。

 

イミプラミンは主にCYP2C19によって活性代謝物であるデシプラミンに代謝される。その後、CYP2D6がさらにデシプラミンを代謝する。CYP2D6の遺伝子多型は酵素活性の変動につながり、イミプラミンの代謝物の血中濃度に影響を及ぼす。遺伝子変異のために酵素活性が低下しているか、あるいは全くないことを特徴とするCYP2D6 PMの表現型を持つ個体では、イミプラミンの代謝が大きく影響される。このような人は、CYP2D6活性が正常な人に比べて活性代謝物の血中濃度が高くなる可能性があり、有効性が高まる可能性があるが、副作用のリスクも高くなる。

 

研究によると、CYP2D6の多型は実際に代謝能力を異ならせ、イミプラミンのような薬物の薬物動態に影響を及ぼす可能性がある。例えば、ある種のCYP2D6変異体を持つ人は、イミプラミンの代謝が変化し、その結果、活性代謝物であるデシプラミンの濃度が異なり、薬剤の治療効果や副作用プロファイルに影響を及ぼす可能性がある(Clinical Pharmacology & Therapeutics, 2013; Drug Metabolism and Disposition, 2007; British Journal of Clinical Pharmacology, 2002)。

 

したがって、「CYP2D6遺伝子多型によるイミプラミンの代謝不良者(PM)では、活性代謝物の血中濃度が高い」という記述は正確である。これは、PMにおいてイミプラミンを効率的に代謝する能力が低下し、デシプラミンのような活性代謝物の濃度が高くなることを反映している。CYP2D6変異体の遺伝子検査は、イミプラミンに対する個々の反応を予測するのに役立ち、治療成績を最適化し副作用を最小化するための用量調節の指針となる可能性がある。

(機械翻訳済み)

 

このように、無事正解にたどり着きました。
おまけに根拠となる引用文献も得られました。

しかし、解答をこのような正答に誘導するには、「その際、まず活性代謝物の生成メカニズムについて調査してください。」のような問題の意図を理解した上での質問内容を加えなければなりませんでした。
少なくとも現状では質問者のスキルや知識が解答の質を大きく左右してしまうようです。