人工知能の活用に関する実績 | 明治薬科大学 医療分子解析学研究室

人工知能の活用に関する実績

趣旨

構造情報のみを用い、医薬品をはじめとする化学物質の毒性予測の精度を競う国際的で大規模な計算毒性学コンペティションが、10年以内に2回開催されています(欧州Cadaster Environmental Toxicity Challengeおよび米国Tox21 Data Challenge)。当研究室の植沢教授は両大会において入賞を果たし、特に1万化合物を投入した史上最大規模の毒性予測コンペティションであるTox21 Challengeでは、女性ホルモン様作用を有する化合物の予測に関して優勝しています。

これらのコンペティションで使用されるような多数の化合物を予測する場合、化合物と毒性・副作用の関係は、人による解釈の限度を超えて非常に複雑です。そこで計算毒性学的解析では人工知能の技術を適用して予測精度の向上を計っています。医療分子解析学研究室では、ランダムフォレスト、ディープラーニングといった機械学習法に独自の工夫を加えることによって高度な予測を達成しています。

趣旨

Deep Snap

 当研究室では人工知能への新規な化合物情報入力システムであるDeep Snapを開発しました。(1,2,3)

 近年、新規な人工知能技術であるディープラーニングが様々な分野における予測に革新的な成果をあげています。QSAR毒性予測においてもディープラーニングは高度な予測を達成するための有望なツールです。一方、化学構造情報を人工知能に受け渡すために、従来は分子記述子を用いていました。しかし、この方法は分子構造を直接解釈することが可能なディープラーニングの性能を十分に活かしてはいませんでした。

 そこで、分子全体の特徴を画像データとして学習させる新規な構造情報入力法「Deep Snap」を開発しました。本法では、分子の立体構造をXYZ軸方向から撮像して画像ファイルを多数生成します。これらを画像解析分野で発展しているディープラーニングシステムに入力することによって、各分子に紐付く生理活性値などの識別に使用します。

 Deep Snapの性能を確認するために、NIHが開催したQSARコンペティション(Tox21 Data Challenge)におけるミトコンドリア膜電位攪乱化合物のデータを使用した検証実験を行ったところ、コンペティション上位10位内に入る良好な予測性能が得られることを実証することができました。

詳細は、引用文献(2, 3)をご覧下さい。

1)植沢芳広、特開2019010095(P2019-10095A) :予測装置、予測方法、予測プログラム、学習モデル入力データ生成装置および学習モデル入力データ生成プログラム(2021年・欧州特許が成立しました(特許番号EP3627404))

2) Uesawa Y, Quantitative structure-activity relationship analysis using deep learning based on a novel molecular image input technique, Bioorg Med Chem Lett. 2018 Nov 1;28(20):3400-3403. doi: 10.1016/j.bmcl.2018.08.032. Epub 2018 Aug 27.

3)植沢 芳広、 ディープラーニングに対する分子情報の新規入力法:Deep Snap、CICSJ Bulletin、2018 年 36 巻 3 号 p. 51-54、発行日: 2018年、公開日: 2018/12/24

4) Yasunari Matsuzaka and Yoshihiro Uesawa, Optimization of a deep-learning method based on the classification of images generated by parameterized deep snap a novel molecular-image-input technique for quantitative structure–activity relationship (QSAR) analysis, Front. Bioeng. Biotechnol., 2019 March 28

5)Matsuzaka Y, Uesawa Y, Prediction model with high-performance constitutive androstane receptor (CAR) using deepsnap-deep learning approach from the tox21 10K compound library, Int J Mol Sci, 2019 Sep 30

これまでの研究成果

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