教育における主たる目的は、講義、実習などを通して薬学の歴史の原点を学ぶことと、薬用植物、生薬の基原植物や重要な医薬品の原料としての薬用植物などを直に触れてもらうことです。医薬品のかなりのものが植物に関連しており、例えば植物の有効成分が医薬品化されたり、あるいは漢方方剤のように植物そのものが利用されたりしています。本園では、本学で薬学を志した学生はもちろん、生薬やハーブ類また漢方をはじめ伝統医療について興味を持っている一般の方に対しても、教育と知識の普及に努めております。薬用植物や生薬は日常の生活に密着しており、特に昨今の健康ブームにのって、セルフメディケーションや予防医学の見地から漢方や薬草への関心の高まりが見受けられます。
本学は薬学6年制移行に伴い、6年制の薬学科では必修の病院及び薬局実習に加え、5年次に独自のカリキュラムに従い最長6ヵ月の特別コース実習を行うことになっています。これは将来の進路を見据え、薬剤師の専門性を高めてスペシャリストを育成するためのプロジェクトです。7つの特別コースのうち「伝統医療薬学コース」では特に、漢方や生薬など伝統医療に強い学生の養成を行うため、薬草園での実習も実施しており、ますます薬草園の重要性が増していくものと考えております。漢方薬に関する教育は今後の薬学教育の中でさらに重要な位置を占めるべきものであり、例えば薬用部位である生薬の標本とそれらの基原植物の理解等が今まで以上に必要となって来ています。さらに医学部教育においても漢方をはじめとする東洋医学の重要性が高まったことから、薬学教育においても漢方医学との密接な連携が強く望まれています。