アトピー性皮膚炎(AD,
atopic dermatitis)は、有病率が8%とも言われており、今日では国民病的様相を呈しています。
微生物がADに関わるのは不思議に思うかもしれませんが、われわれの皮膚には様々な微生物で覆われています。ADの患者さんは、皮膚のセラミドや保湿成分が減少しているため(ドライスキン[図1])、皮膚の微生物(厳密には微生物タンパク質)が侵入しやすくなります。その結果、炎症が誘発されやすくなるのです。
 |
図1 |
|
図2は皮膚にテープをはりつけ、それを培地に転写して培養した写真です。1cm2あたり数100〜数1,000の微生物が皮膚にコロナイズしています。
われわれは、中でも増殖に脂質を必要とする真菌マラセチア(Malassezia)に着目しました(図3)。
 |
図2 |
|
 |
図3 |
|
これまでに多くの研究者がマラセチアとADについて研究してきましたが、われわれは「マラセチア菌を制御することでADの治療を行う」ことをゴールとして以下の順で研究を進めています。
|