ここでは、「簡単編」と同じ円筒型ですが、固定尺が二つあって、 滑尺に「逆尺 (inverse)」があるものを示します。 三角関数も対数も指数も、K 尺も、それどころか A 尺や B 尺もないので、 これを「多機能」とはいかがなものか、という意見は、 まったく正鵠を射たものであると認めざるを得ません。 これらの機能を設計すること自体は特に難しいことでもないので、 時間を見つけてやりたいと思っている、ということでお許しください。
「簡単編」との違いはこの「DI尺」だけなので、ここで示しているものも cylindrical ですがやはり helical ではありません。 そのため、やはり精度は同じ直径の円板形計算尺と同じで、 円周と同じ長さの直線型と同じです。また、カーソルもありません。
やはりどう考えても多機能とは言えないなぁ.
1. まず、上のリンクから「目盛りをうった紙」のファイルをダウンロードして、 A4 サイズ (またはそれ以上) の紙に、縮尺なし (100%) で印刷します。 赤字でうってある数字もありますが、色は白黒で印刷しても構いません。
2. 目盛りを、3本の定規に切り分けます。 上の定規を C 尺、真ん中の定規の上にうってある目盛りを D 尺、 D 尺の下側の目盛りを DI 尺 (D-inverse) と呼びます。 下の定規は C 尺と同じものです。
3.
4. D/DI 尺を筒に巻き付けます。この尺は自由に回せるようにします。 巻き付けた紙の両端をテープか糊で貼り合わせますが、 筒にはくっつかないようにします。 やはりきれいに水平になるようにするのが、重要なポイントです。 先につけた C 尺と、すべての目盛りがぴったりくっつきながら、 くるくると回転するようにします。
5.
下の C 尺を筒に巻き付けて固定します。
これは、上の C 尺と「1」の部分がぴったりまっすぐになるようにします。
やはりきれいに水平になるようにするのが、重要なポイントで、
先につけた D 尺と、すべての目盛りがぴったりくっつきながら、
D 尺が自由に回せるようにします。
うまくスムーズに回ればできあがり!
円板形計算尺とまったく同じなので、コンサイス社の製品を持っていれば、 その説明書に書いてある通りです。 また 計算尺推進委員会 にも非常に詳しい説明があります。
inverse を使う例をまだかいてないので、以下の計算例は「簡単編」と全く同じです。
写真はクリックすると、大きくなります。
3.6 x 6.8 をやるには、まず C 尺の 3.6 のところに D 尺の 1 を合わせます (下図左)。 そして、その状態で D 尺の 6.8 が C 尺のどこに合っているかを読む (下図右)。
3.1 : 7.7 をやるには、C 尺の 3.1 に D 尺の 7.7 を合わせ (下図左)、 D 尺の 1 が C 尺のどこを指しているかを読む。
かけ算と割り算が混ざった A x B / C みたいな計算もできます。 1.3 x 0.62 / 3.1 なら、まず割り算をやります。つまり、 C 尺の 1.3 に D 尺の 3.1 を合わせます (下図左)。 そしてそのまま、D 尺の 6.2 と合っている C 尺の目盛りを読みます。 (下図右)。